田端で焙烙灸
焙烙(ほうろく)灸は、日本の伝統的なお灸の一種であり頭頂部に手拭いを置き、陶器製の焙烙皿を頭部に乗せ、その上からお灸をすえる間接灸です 。
夏の土用の時期に行われる暑気払い、夏バテ防止、頭痛封じ、中風(脳梗塞)封じの行事としても知られています。
焙烙灸の明確な起源を特定する鍼灸の古典は見当たりませんが、その起源は日本の民間療法や仏教の行事に深く根ざしていると考えられます。
伝えられる逸話として、江戸時代に武将が夏バテした際に、兜の上からお灸をすえたところ、たちまち頭が晴れ、全快したのが始まりとされる説があります。
後に、兜の代わりに焙烙を用いるようになったことから焙烙灸と呼ばれるようになりました。
また、日本にお灸を広めた弘法大師空海が頭痛封じ、暑気払いに頭頂部のツボに灸をすえたことから、土用の丑の日にお寺の伝統行事として焙烙灸が行われるようになったという説も存在します。
これらの伝承は、焙烙灸が鍼灸の学術的な体系に基づいて成立したというよりも、人々の生活の中で自然発生的に生まれ、その効果が経験的に認識され、広まっていったことを示唆しています。特に夏の暑さに起因する体調不良や頭痛に対する民間療法として、庶民の間で定着していったと考えられます。
江戸時代に入ると、鍼灸は庶民の間にも広く普及し、もぐさも容易に入手できるようになり、様々な形式の灸法が実践されるようになりました。
老舗のお灸製造販売業者で1661年創業、伊吹もぐさ亀屋佐京商店。
1659年創業、1700年頃からもぐさを中心に製造されている釜屋もぐさが現代まで続いています。
この時代に焙烙灸も夏の土用の時期の伝統行事として定着し、一部の寺院で祈祷と合わせて行われるようになりました。頭に焙烙皿を乗せ、その上にもぐさを置いて火を点けるという独特の形態は、夏の風物詩として親しまれました。
現代においても、一部の鍼灸院や寺院で焙烙灸が継承されています。
ほうろく灸は、武将の逸話や弘法大師の伝承に彩られた日本の伝統的なお灸の一種であり、その歴史は民間伝承、仏教行事、お灸が融合して形成されてきました。
江戸時代に夏の風物詩として定着し、現代においても夏の土用の行事として、一部の鍼灸院や寺院でほうろく灸が継承されています。
調和堂鍼灸治療院でも夏の土用の期間に毎年行っております。
本年度も、夏の土用の期間(7月19日(土)~8月6日(水))に鍼灸院の夏の風物詩、ほうろく灸(焙烙灸)を行います。
目的は無病息災(頭痛封じ、中風(脳血管障害)封じ)、暑気(夏バテ)払いです。
頭頂部のほうろくの上からお灸を据えますので、暑さを感じ無病息災をお祈りしましょう。
通常の鍼灸治療や美容鍼灸治療に加えてのみ行いますので、御予約の際にお申し付け下さい。(焙烙灸のみは不可、特に症状のない方は健康管理として鍼灸治療を行い、焙烙灸を加えるのは可能です。)
メールフォームからは症状などの欄に、ほうろく灸希望とご記入下さい。
約10分 900円 *2年目以降の方は400円
*治療目的のお灸ではなく、お祈り(祈祷)が目的なので、基本的には医療費控除の対象外です。