頭痛くらいで病院に行くのは大げさかな、私だけがこんなに辛いのかなと、頭痛を我慢していませんか。
ご存じないかと思いますが、病院に勤務している医師や看護師さんたちも、皆さんと同じように頭痛で悩んでいるという調査結果があります。
当院でも医療従事者の方で、薬が効きにくい方が頭痛の治療や予防として、鍼灸治療を受けていますが少数派です。
こちらでは、東京と佐賀の2つの大きな病院で行われた約1050名の頭痛の調査結果を紹介します。
要点
・病院で働く人の約7割が頭痛持ちです。皆さんと同じように、頭痛に悩んでいる専門家がたくさんいます。
・頭痛があっても、誰にも言わずに我慢する人が半分以上です。痛くても仕事を休めず、無理をしている方が多いです。
・痛みがあると仕事に集中できず、能力を出せないと感じています。
・頭痛が辛くても受診率は約2割。専門家でも受診は後回しになりがちです。
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しかし、頭痛は決して気のせいではありませんし、我慢し続ける必要もありません。
東京と佐賀の病院で、職員の皆さんを対象に頭痛に関する調査が行われましたが、結果は皆さんが思っている以上に、多くの方が頭痛に苦しんでいる現実がありました。
調査によると、病院の先生や看護師さんなどの職員の約7割から8割が、頭痛を経験したことがあると答えています。これは、一般の人と比べても高い割合です。
特に辛いのは女性と看護師さんで、調査では、特に以下のような方に頭痛が多いことが分かりました。
女性の方: 女性ホルモンの影響もあり、男性よりも頭痛で悩んでいる人が多い。
看護師さん: 他の職種と比べて、看護師さんに頭痛が多いことが分かりました。夜勤があったり、忙しかったり、精神的なストレスも大きかったりと、仕事の負担が大きいことが関係しているようです。
頭痛があるときに仕事を続けるのは、辛いですよね。調査でも頭痛がある職員の約85%が、頭痛のせいで、仕事の能力が低下していて、その中の約26~36%がいつもの半分くらいか、それ以下に落ちてしまうと感じていました。
さらに深刻なのは、頭痛がある職員の半分以上が、職場では誰にも言わずに、黙って我慢していると答えていることです。頭痛で早退や欠勤をしたことがある職員は5%以下でした。
これは頭痛くらいで休めない、周りに迷惑をかけたくないという気持ちからくるものだと思いますし、人手不足なので我慢するしかない現状かと思います。
頭痛が辛くて日常生活に支障が出ている職員はたくさんいましたが、実際に病院で専門的に頭痛を診てもらったことがある人は、2割ほどしかいませんでした。
なぜ、病院勤務なのに受診しないのでしょうか。原因としては、頭痛の治療に関する知識や、治療の重要性の認識に関する啓発が進んでいなかったり、 忙しすぎて受診に行く時間がないので、市販薬で対処しているのが原因として考えられます。
頭痛は、放っておくと生活の質を大きく下げてしまいます。専門家でさえ後回しにしてしまう現実があるからこそ、鍼灸師としては頭痛は我慢しないで、頭痛外来を受診したり、鍼灸治療を受けて頂ければと思います。
この調査結果は、頭痛が医療従事者でさえも身近で、深刻な悩みであるかを教えてくれました。病院の先生や看護師さんたちでさえ悩んでいるのですから、皆さんが辛いのは当たり前です。
多くの人が、周囲に言わず我慢して仕事を続けていて、仕事の能力を大きく低下させています。特に女性や忙しい看護師さんに多く、夜勤や低気圧が原因となります。
頭痛は、専門家でさえ受診率が低く、適切な治療が後回しになりがちですが、我慢せずに治療することが大切です。
頭痛の診療ガイドライン2021でも緊張型頭痛、片頭痛、薬の使い過ぎによる頭痛における標準治療の中で、鍼灸治療が予防や症状の出ている時の非薬物療法の中の選択肢の一つとして推奨されています。
頭痛のない健やかな毎日を目指しましょう。
参考文献
・加藤宏一. 医療機関職員における頭痛の実態調査.日本頭痛学会誌.49:584―589,2023
・岩﨑めぐみ,他 .佐賀県北部医療圏中核病院での医療従事者における頭痛の実態調査.日本頭痛学会誌,52:102―106,2025