近年、鍼治療は腰痛や肩こりや膝の痛み等の慢性痛に対して薬に頼らない治療法として注目を集めていて、世界的には整形外科やリハビリ科等、医療現場でも補完医療として導入されるケースが増加しています。
こうした広がりを受け、世界各地でどのような患者に鍼治療を勧めるべきかを示す臨床ガイドラインが整備されています。
今回は、2014年から2024年に発表された鍼治療の臨床ガイドラインをまとめて分析された結果を解説します。
・全体の60%が鍼治療の実施を支持
・鍼治療の実施を支持するが、強い推奨は6%
・結果にばらつきがある
調査では、9つの学術データベースを検索し、約2,000件の文献の中から17本のガイドラインを抽出。
対象国は中国、アメリカ、日本、カナダ、デンマーク、韓国、イギリス、オーストラリアの8か国で、対象となった主な疾患は、鍼灸治療でよく対象になる次の4つです。
・肩の痛み
・腰痛
・変形性関節症(主に膝)
・首の痛み
これらのガイドラインには、計35の鍼治療に関する推奨事項が含まれていました。
分析によると、全体の約60%が鍼治療の実施を支持していました。
推奨の詳細は、強い推奨が約6%、弱い推奨が約54%
一方で、約23%は明確に方向性を示しておらず、約17%は推奨しないとしています。研究の質や結果が一貫していない点が、この差に関わっていると考えられます。
今後の課題としては、ガイドラインごとに結論が異なる傾向が見られたことです。
アジア圏では実績や臨床経験が重視されるのに対し、欧米では統計的に効果を証明できるかという点を重視する傾向があります。
文化や医療制度の違いが、鍼治療をめぐる評価のばらつきにつながっている可能性があります。
今回の分析から、世界的には鍼治療に対する医学的な評価は着実に前進していることがわかりました。
強く推奨するはまだ限られていますが、一定の条件下では有用とする意見が多数を占めています。
今後、研究の質が向上し、ガイドラインの掲載が増加すれば、鍼治療はより多くの患者さんにとって安心して選べる、薬を使用しない治療法となっていくかと思います。
今回は世界各地のまとめなので、日本国内のガイドラインに記載のある鍼灸治療は別のページで紹介します。
参考文献
Ho L, et al. 慢性筋骨格系痛に対する鍼治療の臨床実践ガイドラインの体系的レビュー . BMC Complement Med Ther. 2025 Sep 1;25(1):322.